先生、大好き
「姫羅‥傘どうする?」
柚は傘が一本しかないことに気づいたのか心配そうな顔をした。
「大丈夫だよ!!」
「でも‥」
「もう少ししたら雨やむだろうから、少し待ってる!」
私が言うと「風邪引かないでね?」と柚に頭を撫でられた。
2人は帰って行った。
「やまないかなー‥」
私は30分くらい待ったけれど雨はやむ気配がなかった。
仕方なく私は走って帰ることにした。
雨は冷たく私の躰を濡らしていく。
『…キャン‥キャン‥』
不意に子犬の鳴くような声が聞こえた。
私は立ち止まり周りを見回すと、汚れたダンボールが目に入った。
ダンボールに近づき中を覗くとそこには小さな子犬がいた。