先生、大好き


「姫羅‥傘どうする?」


柚は傘が一本しかないことに気づいたのか心配そうな顔をした。


「大丈夫だよ!!」

「でも‥」

「もう少ししたら雨やむだろうから、少し待ってる!」


私が言うと「風邪引かないでね?」と柚に頭を撫でられた。

2人は帰って行った。


「やまないかなー‥」


私は30分くらい待ったけれど雨はやむ気配がなかった。

仕方なく私は走って帰ることにした。

雨は冷たく私の躰を濡らしていく。


『…キャン‥キャン‥』


不意に子犬の鳴くような声が聞こえた。

私は立ち止まり周りを見回すと、汚れたダンボールが目に入った。

ダンボールに近づき中を覗くとそこには小さな子犬がいた。
< 129 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop