先生、大好き
「煕梓」
「え‥」
「僕はあなたに名前をつけてもらった」
「もしかして‥湊の?」
「うん。雨の日に姫羅ちゃんに拾われた子犬だよ」
犬は瞳を開け俺の瞳をじっと見つめた。
「なんで‥なんでお前がここにいる?」
「あなたを連れ戻しに来た」
「俺を?」
「ここは無の世界。あなたはここにいてはダメ」
犬は俺の袖を口にくわえ引っ張る。
「え‥梓煕くん?」
「!!‥リア!?」
そこにいたのは‥俺の初恋の女。
俺が高校生のときに付き合っていたリアという女だった。
だがリアは‥もう‥存在しない。