先生、大好き


「大丈夫。ちゃんと帰れるから」

「だが出口なんてない」


俺が言うとリアは犬が走っていった方を指差した。

そこに大きな扉があった。


「子犬くんが‥梓煕くんの代わりにこの世界に残るの。あの鍵は解放と封鎖の扉を開ける鍵」

「犬が残る?解放と封鎖?」

「子犬くんは梓煕くんを元いたところに返すために‥あの鍵を使う。あの鍵は使った者をこの世界に残し、その者が望んだ者を元の世界に戻す」

「それじゃ‥犬は…」


リアは悲しそうに微笑み「子犬くんは私が預かるから‥」と言った。

俺はやっと理解できた。

俺が戻る為には‥湊の大切にしていた犬を犠牲にしないとならない。
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