先生、大好き


「なにするの‥お父様」

「お前は出来損ないだ」

「出来損ない?‥私のどこが?成績も身体能力も外見も他の人たちより上よ?」

「お前は人間として出来損ないだ」

「‥意味が分からないわ」


如月さんは呆れた顔をして椅子に座った。

お父さんは如月さんの肩に手を置いた。


「磨緒。人間として、人を傷つけることはいいことなのか?」

「‥人によるわ」

「ならば、神楽さんのご子息は傷つけてもいい人なのか?」

「ダメよ!!梓煕様はいい人ですもの!」


如月さんはお父さんを睨んだ。


「でもお前は傷つけた」

「っ!!」

「お前が神楽さんのご子息を傷つけたのは‥雫(シズク)君に自分を見てほしいからだろ?」

「!?」


如月さんは目を見開いた。

そして少し泣きそうな瞳をしていた。


「母さん!!!姫羅!!」


突然聞こえた懐かしい声に私は振り返った。
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