先生、大好き


「保健室なのに誰もいないとかダメだろ…」


大馳は誰もいない保健室に入ってボソッと吐いた。

保健室に誰もいないのは僕としてもどうかと思う。


「傷‥手首のところが深いですね…」

「姫羅、痛むか‥?」

「大丈夫だよ」


僕は丁寧に包帯を巻き、浅いかすり傷には絆創膏を貼った。

浅い傷は治るが‥手首にある深い傷は治らないだろう。

服で見えないが、方の部分の傷も消えない。


「傷、治らないのかな‥」

「…手首の傷は、難しいです」

「そっか…」


沁司君はずっと「ごめん湊‥ごめん」と謝っていた。

湊さんは「大丈夫だから‥」と優しく笑っていた。
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