先生、大好き


「だが神楽君、君のその考えは間違っているよ」

「‥間違い?」


先生は眉間にしわを寄せながら理事長に尋ねた。


「君の判断は正しいかもしれない、だがな、彼女にとってそれは残酷なことだ」

「…」

「君は今‥湊さんの君にたいする愛を…否定したんだ」


先生は目を見開いた。

そして少しの悲しみが先生の瞳に現れた。


「愛する生徒を守りたい‥君はその思いで彼女の湊さんを傷つけた。君が湊さんを守りたいように‥湊さんも君を守りたいんじゃないかな?」


理事長は優しい声でそっと言った。

先生の泣き出しそうな瞳が私をとらえた。


「…湊‥」


私はそんな先生を見てゆっくりと口を開いた。


「理事長の言うように…私も‥先生を守りたい。どうしたら守れるのか‥分からないけど……」

「湊‥」

「守られるだけじゃ‥やだ…」


私は先生に抱きついた。

先生は理事長に目をやった。

理事長は微笑み頷いた。
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