トライアングル
「ね、優也。私の事はいいから、お母さんの隣に行って。それから手を握ってあげて。きっと、安心出来ると思うから」
私は優也に小さくそう言った。
私だって一応、看護師の卵。
少しくらい、役に立てる事言いたいしね。
優也は小さく笑ってから、お母さんの隣に行って……手を握って……楽しそうに話してた。
その姿は、昔の二人の姿と何も変わってなくて。
少しだけ形は違うけど、それでもやっぱり、昔の二人そのものなんだ。
優也のお母さんも、お父さんも、それから優也も。
色んな事があって、沢山悩んで。
それで優也のお父さんは、死という道を選んだ。
だけど、それは決して負けたわけじゃないと思う。
優也のお父さんは、負けてない。
十分、小さな優也と大切な優也のお母さんを守ったんだ。
それは凄く、すっごく強いと思う。
家族と会社と、それから仲間。
優也のお父さんは、それらを全部、一人で抱えて頑張ってたんだから。
そんなの、絶対誰にも真似できないよ。