先生という名の愛しき人へ
理科室は、
ほんの少しだけ
薬品の匂いがした。
陽の光が差し込んで、
9つのテーブルは、
オレンジ色に染まっていた。
静かな空間に、
私のしゃくりあげる声だけが
響いている。
先生はなにも言わず、
そっと、私の隣に座った。
「......落ち着いた?」
しばらくの沈黙のあと、
先生が口を開いた。
私は、ゆっくりと頷く。
「......告白されたの」
「......」
「一年生の頃から、
ずっと好きだったって」
「......」
「分からないの、先生」
「......」
「私、どうすればいいの?」
「......」