先生という名の愛しき人へ
先生は、私達の教室の近くで、
生徒に『さようなら』って
挨拶していた。
「先生ー!!」
元気に呼んでみる。
先生はすぐに気付いて、
私の近くに来た。
「....伊藤!お疲れ様」
「先生こそ、お疲れ様です」
「ああ、ありがとう」
先生はそう言って、
私を廊下の隅っこに連れていった。
「それでさ、夏休みの件だけど、
いつなら大丈夫?」
あーそうでした。
夏休みの個人授業でした。
「私は、お昼なら、
いつでも大丈夫です。
塾は夜ですから」
「そうか。
じゃあ、8月1日においで。
お昼頃に、そのまま理科室ね」
「了解です」
なんか......
二人だけの秘密って感じで、
妙に緊張する。