ただ君が好きで
帰り道、2人は横に並んで歩く。
海斗は歩きの遅い雪菜に、さりげなく合わせて歩いてくれる。
「ねえ海斗」
「ん?」
「今日部活は?」
「んー?今日は休みー!試合終わったばっかりだから」
「あっそうだったね!久しぶりの休みじゃん」
海斗は全国に行くほど強い、サッカー部員の1人。
それに、落ち着いていて、言葉使いも丁寧な海斗は年齢関係なく人気あるタイプだった。
一回、試合を見に行った時は海斗のファンの多さにびっくりした。
「雪菜、明後日空いてる?」
「えっ大丈夫なの?」
「久しぶりに雪菜と遊びたいし~」
たまに子供みたいだと思う海斗の一面。
「ふふっ楽しみにしてるね~っ」
笑顔で答えた。
でも
海斗の目をまっすぐ見る事ができない。
優太が人気あるって知って
心がモヤモヤしてる自分がいる。
あたしってほんとダメ。
いつも自分の気持ちが分からない。
曖昧な
自分がほんとに嫌い。