ただ君が好きで
…もう考えないでおこう
こんな感情ははやく消してしまおう。
心の中で唱えた。
「ねえ雪菜…」
「…えっっ?」
突然名前を呼ばれてふと我に返る。
やばっ
海斗の話聞いてなかったのかな…
「…どうしたの?悩み事?」
海斗が心配そうにあたしを覗きこむ。
「えっなんで?」
「なんか、沈んだ顔してるから」
「え、そうかな?」
今日会ってから普通に笑ってるつもりだったのに。
やっぱり、海斗には分かっちゃうんだね。
「相談ならいつでものるからね?」
「ありがとう、大丈夫だよ」
あたしは精一杯の笑顔を作った。
夕日が空をオレンジ色に照らした。
太陽を背に歩く。
「雪菜…」
「ん?」
2人の影が重なった。