奪愛-DATSUAI-
亜紀に手を引かれ、私はついていくがままになった。



亜紀たちがいなくなったあと、隠れ場所には重苦しい静けさだけが残った。


「今振り返ってみればまじとんでもねぇことやっちまったなー」


気分を変えようと繁正が少し笑いながら言うが、誰も何も変わりやしなかった。



翔はポケットに入れていた煙草を取り出し、火をつけた。



「・・・元はと言えば彼女に目をつけた秀二が悪いだろ・・・」


ぼそっと慧が言った。


「いや、慧の方がわりぃだろ。


ついていってみようなんて言いだしたのはどこのどいつだぁ?」
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