奪愛-DATSUAI-
その時、突然雨が降ってきた。



「傘持ってきてて良かった~!


天気予報見たら今週ずっと雨なんだもん!」


「当たり前だろ、梅雨なんだし」



慧がクスクス笑いながら言った。



「・・・・・・・・・・傘忘れた」


亜紀が鞄の中を見ながらボソッと呟いた。



「可愛そうな子猫ちゃん、俺のふところ入るかい?」


秀二がかっこつけながら片膝ついて亜紀を誘った。



「誰が男の傘に入るか!


それもよりによっておまえみたいなやつの!」



「秀二女に何回振られてんだ」



繁正が腹を抱えながら笑う。
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