孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
「どうしたの?」

振り返ると、祖母が立っていた。

「おばあちゃん、あの犬が怖いよ」

「大丈夫だよ」

祖母は少女の手をそっと握り、歩き出した。

その手には安心感をもたらす、温かさが宿っていた。

「ありがとう。おばあちゃん、わたしにとって『アリアドネの糸』だね」

不安が消えた少女は、そう言ってにっこりと笑った。


(了)

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