孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
ぽーん、ぽーん。


視界に、上下する橙色が映る。

寂れた商店街を歩く私に、目を向ける者はない。

半数以上の店がシャッターを下ろしているので、私は障害物を気にせず歩を進めることができた。


ぽーん、ぽーん。


私の手に着地する時に伝わる、軽い衝撃。

まるで呼吸をする生命の活動みたいで、鼻の奥がつんとした。

この橙色は生きている――

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