孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
――わけもなく、私の手によってされるがままだ。


橙色の果実は、あの人が好きな食べ物だった。

みずみずしい酸味がたまらないのだ、と口にしたあの人の笑顔。

ずっと忘れないでおこう、と涙に暮れながら誓った。


だが、実際は時々記憶が霞んで思い出せなくなることがある。

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