孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
辺りが真っ暗になった。

「ようこそ、黒の世界へ」

突如降ってきた『声』に、少年はびくっと身体を震わせた。

「ここはどこなんですか?」

「お前がボールペンのインクで作った、素晴らしき永住地だよ」

「冗談はよせ」

愉快そうに、『声』は話す。

「ヒントをやろう。お前が用語集に最後に書いた言葉だ」

「最後? 『わ』で始まったから……罠だ」

「大当たり。ようし、褒美として……」

縋り付くように、『声』が聞こえるほうへ視線を送る。

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