孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
「お帰り、ノン」

帰宅すると、お母さんが声を掛ける。

わたしもいつも通り返事をしようとした。

「た、ただいま……」

声が、不自然に掠れる。

「どうしたの、ノン。風邪でも引いたのかな? 季節の変わり目だし」

「う、うん。へ、へ、部屋に行ってくる」

動揺したわたしは、お母さんの目から逃げるように立ち去った。

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