孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
「そうだよ。あんたはいい声をしているのに、なかなか役に立っていない。だから、私が半分借りに来たんだよ」

わたしは言葉を失った。

「勿論、借りるだけだから、三日したら返すよ」

「ほ、本当に返してくれるのですか?」

疑い深い目を向けてしまう。

「約束するから。ちょっと、この世界でしておきたいことがあってね」

「は、あ」

「それに、タダで借りるわけじゃない。お礼もちゃんとするから。『何か』をあげるからね」

悪戯っぽく笑うと、『魔女』は、消えた。

< 76 / 90 >

この作品をシェア

pagetop