孤独との対話が、わたしの楽しみです。【短篇集】
あれから孤独さんとは言葉を交わしていない。
理由はきっと――私が孤独ではなくなったから。
表面上は仲間に恵まれたものの、心だけ取り残された気がすることもある。
そんな時、私は呼びかけるのだ。
――孤独さん、孤独さん、あなたと話したい。
返事はないけれど、孤独さんは今なお心の奥底で住んでいるように感じる。
生きている限り、完全に孤独から逃れることはできないから。
かつての『わたし』と、現在の『私』。
ひとりでいる時間が短くなった。
それだけの変化によって失われた、対話。
色褪せることはないであろう、対話。
今日もノックの音を待ちつつ、思い出を綴ってみた。
(了)
理由はきっと――私が孤独ではなくなったから。
表面上は仲間に恵まれたものの、心だけ取り残された気がすることもある。
そんな時、私は呼びかけるのだ。
――孤独さん、孤独さん、あなたと話したい。
返事はないけれど、孤独さんは今なお心の奥底で住んでいるように感じる。
生きている限り、完全に孤独から逃れることはできないから。
かつての『わたし』と、現在の『私』。
ひとりでいる時間が短くなった。
それだけの変化によって失われた、対話。
色褪せることはないであろう、対話。
今日もノックの音を待ちつつ、思い出を綴ってみた。
(了)