初めての恋
自分の気持ちを、素直に伝える言葉がみつからなかった。


今日は透に返事をする約束の日。


案の定公園で透は待っていた。


いつもと変わらない透のはずなのに、大人っぽく大きく見える透に何故だか照れた。


「麗、答出してくれた?」


「うん~」


「じゃあ聞かせて返事…あっ…ちょっと待って。もし悲しい返事でも、幼なじみとしての気持ちは変わらない事。いいかな」


「…私…透が傍にいて気がついていなかったのかも。私も…透が好き…」


「マジで!やった~麗好きだよ~あ~やっとホッとした」


透は出会ったあの日と同じ笑顔で、笑っていた。


ただ二人とも、子供からオトナへと変わって行こうとしてる。


人を好きという気持ちも、相手の事を考えると鼓動が早くなり、今すぐ逢いたい…


そんな気持ちになる。

透は麗の手を取り、握りしめた。


二人は何も話さず、ただその手のぬくもりを感じながら…ゆっくり今までと違う帰り道を歩いた。


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