ずっと心に君を



その人はコーヒーを飲みながら
何か難しそうな本を
取り出した。





私たちがずっと見ていると
その人は本から私たちに目をやり
「君ら新入生?」
と聞いてきた。




「そうです。」

ハルが返事をすると



「俺、4回生の川嶋翔太。
工学部。」


と言った。


ハルも私も同じように
自己紹介をし、
大学について
話していると



「翔太ー!!」



と遠くで高い声がした。



振り返って見ると
入り口の所で手を振る
女性がいた。



細くて長い足が
際立つ短いスカートに
肩にかかるぐらいの
ゆるく巻かれた髪。

ため息が出るくらいに
綺麗な人だった。





その人の少し後ろを
めんどくさそうに
歩いてくる人から
私は目が離せなかった。
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