【完】SHOOT~あなただけのマネージャー~
心地良い空気に包まれていたのに、それを破ったのは扉の開く音。
「調子はどぉ~?」
ピシッと固まってしまう、この声。
扉の方を見ると...。
「リンさん......」
ぱっちりの大きな瞳が少し見開いて私を見る。
「何で、楓さんが?? お見舞いですか?」
そう、だった......。
リンさんと、玲王は付き合ってたんだ......。
何大事なこと忘れてたんだろう......。
そりゃ、彼女さんがお見舞いに来たのに、違う女が居たら驚くのもムリは無いよね。
そして、目に入ったのはリンさんの髪に結ばれているスート柄の赤いリボン......。
あれって、玲王が旅行行ったときに買ってたのだよね......?
渡す人って、リンさんのことだったんだ......。
丸椅子から立ち上がり、出て行こうとする。
「......え...」
握られた手首。
「どこに行く気だよ...」
いつもより少し低い玲王の声。
何で、そんなこと聞くの?
気利かせようとしたのに......。
行くに行けないじゃん。