嫌いなあいつは婚約者
「お、お待たせ…」
軽く息を切らせながら言う。
準備で息切らしたのって初めてなんだけど!
「遅い!」と言ってズカズカあたしの前を歩く松田にイライラしつつも、松田の後ろについて家を後にした。
「んで、どこ行くの?」
駅に着いたあたしたち。
どこに行くか全く聞いてないあたしは、松田に聞いた。
「今日はいつもおまえを世話してやってるお礼におまえから奢ってもらうからな?」
ニヤッと笑う松田。
奢るって…え、松田めちゃくちゃ大食いじゃなかった!?
初対面のときもなんか食べてたし、あのホテルの料理だってほとんど………
そのときあたしは、自分の財布の中が空になることを悟った。
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