嫌いなあいつは婚約者
「いい夫婦とか言われても…」
帰り道、ちらっと松田を見る。
私は……松田が好き、だけど
松田には彼女さんがいるらしいし…
婚約者って言っても、結局は破棄されるだろうし。
うわっ、考えてて落ち込んで来た。
ボーっと歩いていると、先の方にいるユウくんとウミちゃんに呼ばれた。
「お姉ちゃーん!!早くーっ!!」
「兄ちゃんも!!お腹すいたー!!」
「あ、うん!待ってよ2人共っ!!」
買い物袋を片手に持って走ろうとした私。
そのとき、腕をぐっと掴まれた。
「うわっ!…あ、なんだ松田か」
「女らしくない反応だな!」
「うるさい!!余計なお世話」
言い返した私に松田はふっと笑うと、私の頭をポンっとした。
えっ?
「置いてくぞ」
「ちょっ、待ちなさいよ!!」
悪戯っ子のように走っていく松田。
それを見て、なんか元気出てきた!
松田への気持ちは、自分の中で大切にしようと思う。
初めての気持ちだし。
でも先のことなんて考えずに、今を楽しもう!うん!!
そう思うと、私は松田を追いかけて走り出した。
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