嫌いなあいつは婚約者



頑張って堪えていたのに、耐え切れなかったものが目から頬を伝い落ちる。



「分かったか?」


「ん゙っ!」




拳を握りしめた私の頭をぽんぽんと叩くと「あとは食べて薬飲んで寝ろ」と言い、松田は入ってきたときと同じように窓から出ていった。










今日の松田、なんか……いつもと違う//


明らかに風邪とは違う赤みが、頬から離れない。






「寝よ…」



お粥を食べ、薬を飲むと、ベッドに横たわる。




そして私は自分でも驚くほど早く、意識を手放した。










.
< 162 / 335 >

この作品をシェア

pagetop