嫌いなあいつは婚約者
軽く会釈をして、社長さんを見送る。
すると、トントンと松田が肩を叩いて来た。
「…こーゆーの、手慣れてる訳?」
「え、ううん全然!でも、昔一般教養とか言って教え込まれてたから、たぶん松田よりは慣れてるとは思うよ?」
「ふーん…。俺、隅で料理食ってるわ」
壁の方に向かっていく松田に、やっぱり食い気か、と苦笑いを浮かべたとき、ドンッと肩が誰かにぶつかった。
「あっ、ごめんなさい!」
「すみません」
被った声。
その声の主を見ると、そこには見覚えのある人が立っていた。
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