嫌いなあいつは婚約者
「酒井って、あの酒井だったんだな…」
「どの酒井かは分からないですけど…たぶんその酒井です。」
あのプールの日は一言しか会話していなかったから、結構無口な人なのかなぁと思っていたのだけれど…
やっぱり、予想通りで話が進まない。
華やかなパーティーのはずなのに沈黙が続いて堪えられなくなった私は、逃げるようにその場を後にしようとした。
けれども、水野さんに腕を掴まれてしまい、そのまま引き止められる形となってしまった。
「ど、どうしたんですか?」
不思議な人すぎるでしょ、と水野さんを見る。
少し外国の方の血が入っているのか、茶色い目に、染めたとは思えないような綺麗な焦げ茶の髪。たぶん地毛だろう。
整っていて、めちゃくちゃ美形…と惚れ惚れしていると、水野さんはずっと掴んでいた腕を離してくれた。
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