嫌いなあいつは婚約者


「ん、すまん。」


「えっ、いや大丈夫です。」




またもや訪れる沈黙。

けれどもそれを遮ったのは、意外にも水野さんだった。





「酒井…さんは、携帯持ってきてる?」


「はい、一応。」


そういい、軽くバックを持ち上げる。




「貸して」と言われ、携帯を渡すと、少し弄った後、私に手渡した。




「これ、俺のメアドだから」

「は、はぁ…」




「…………俺、酒井…さんのこと、好きになった」





「へ?」


「好きだ」






えぇぇぇぇえ!?
いきなり脈絡もなしに告白されて、戸惑う私。
というか、告白自体初めてで、どうすればいいのか分からない。


フリーズしてしまった私と、私を直視し続ける水野さんの話を聞いていた周りのパーティー客たちは、わらわらと私たちの周りに群がっていた。









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