嫌いなあいつは婚約者
「松田くんの婚約者の顔、見たっ!?」
「見た見た!…でも、なんか意外ー!」
「あ、わかるっ!」
「すっごい平凡そうな人だったよねーっ!!」とキャッキャッと話しあう子たちの会話を聞いた私は、トイレの個室の中。
鏡の前で話されてるせいで、個室から出るに出れなくなってしまったのだ。
「ぶっちゃけ、もっと可愛くて気品のある人だったら私たちも全然諦めるつもりだったのにね!」
「そうそう!あのぐらいだったら私たちでも、って思っちゃうよね!」
笑うその子たち。
ちょっと、あまりにも酷い言われようじゃないか…?
ポロポロと、息を殺して涙を流す私。
気付いたときには、その女の子たちはトイレから出ていっていた。
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