嫌いなあいつは婚約者
口を話すと、驚いて固まっている松田が目に入る。
そんな松田を見据えて言った。
「私は、松田が嫌だって言っても絶対傍を離れないから!」
「覚悟しといてよね!」と抱き着く。
そんな私を松田は優しく包むと、耳元で小さく呟いた。
「ありがとう」と。
「それにしても、まさか結婚に反対してた父さんがあんなこと言うなんてね!びっくりしたよー。」
「あぁ。」
和やかな雰囲気の中、私たちは会えなかった時間を埋めるかのようにたくさん話した。
松田と会えなかった時間なんて、ほんのちょっとの間だけだったはずなのにすごく寂しく感じて。
あの第一印象最悪だった松田がこんな存在になるなんて、と世の中何が起こるか分からないもんなんだなと実感した。
.