嫌いなあいつは婚約者


口を話すと、驚いて固まっている松田が目に入る。

そんな松田を見据えて言った。



「私は、松田が嫌だって言っても絶対傍を離れないから!」


「覚悟しといてよね!」と抱き着く。
そんな私を松田は優しく包むと、耳元で小さく呟いた。






「ありがとう」と。















「それにしても、まさか結婚に反対してた父さんがあんなこと言うなんてね!びっくりしたよー。」



「あぁ。」






和やかな雰囲気の中、私たちは会えなかった時間を埋めるかのようにたくさん話した。


松田と会えなかった時間なんて、ほんのちょっとの間だけだったはずなのにすごく寂しく感じて。






あの第一印象最悪だった松田がこんな存在になるなんて、と世の中何が起こるか分からないもんなんだなと実感した。











.
< 270 / 335 >

この作品をシェア

pagetop