嫌いなあいつは婚約者
「このドレスとか指輪、松田が準備したの?」
「…まぁな。」
「ありがと。」
そう言ってにこっと笑うと、いきなり顔が近づいてきて、気付いたら重なっていた。
周りの歓声とともに離れる距離。
そして、つぶやかれた一言。
「…あたりまえだろ、馬鹿。」
その言葉は、他人が聞いたら甘い言葉とは思えないかもしれない。
でも私には十分すぎるぐらい松田の想いが伝わって。
私はそこでとめどなく涙をながした。
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