嫌いなあいつは婚約者


「ちょっ、どこ行くの!?」



いつもは、校門を出てすぐ左に曲がるのに、今日は何故か右に曲がった松田。


急に曲がったために慌てて着いていって声をかけても、何の反応もしてくれない。




待って!っと手を掴むと、その手はとてつもなく冷たかった。


「冷たっ!…え、松田いつからまっててくれてたの!?」

「別に待ってなんかねーし。」



それだけ答えて、またすたすたと行ってしまった松田。

あの冷たい手を触った私は、どれだけ松田を待たせてしまっていたか悟り、
その後ろを大人しく着いていくことしかできなかった。










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