嫌いなあいつは婚約者



何度断っても、めげずに誘い続けてくる。

そして結局、無理矢理腕を引いて歩き始めた。





助けを呼ぼうにも、人っ子一人通らない。


不運だな、と他人事のように考えていると、どこかいかがわしい雰囲気を醸し出している店に入れられそうになった。




「やめてっ!」



さすがにやばいと思って叫んでも今さら遅い。





「大丈夫、優しくしてあげるから。」


気持ち悪いことを言われ、生理的な涙が溢れてとまらない。




覚悟を決めようと目をつぶったとき、ゴツッという凄まじい音と共に、あたしの腕を掴んでいた気持ち悪い人は倒れていた。










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