嫌いなあいつは婚約者
「なんでついてくんの?」
「どっか行くんじゃなかったの?」と聞いたら「コンビニ。」と言い、
「行きなよ。」と言ったら「財布忘れたー」と肩を竦める。
そんな風に話してたら、いつの間にか家の前に着いていた。
隣を歩く馬鹿を無視して家に入ろうとする。
お礼くらい言おうかな…と振り返ると、そこにはもう馬鹿はいなくて、近くの自動販売機でコーヒーを買ってた。
そして、私の方を振り向かないまま、またコンビニの方に歩いてった。
「財布なかったんじゃないじゃん。」
そう呟いた私の悪態は、そのあとに呟いた「ありがとう、松田。」の言葉と共に空に消えていった。
その日、私は既に松田に……………
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