嫌いなあいつは婚約者




「………家に帰っても…外から、見られてた…。」





顔を伏せて言う。

すると、伏せた拍子に視界にあの男が入った。




しかも、今度は目が合う。






「いやっ!!」



そういってうずくまった私に駆け寄ってくる松田。





私が見てた場所にいた男を見て舌打ちすると、目を私に戻し、言った。





「今日は、うちに泊まれ。ウミが瑠璃お姉ちゃんってうるせーからな。」




「今日だけだぞ。」と言って、私の体を軽々と抱き上げ、松田家のベランダへ抱き寄せた。





軽々と抱き上げる松田の腕は私とは違くて、かたくて、皮が薄い。



松田の手が触れてるお腹は、松田の熱が伝わったのか、じんわりとあたたかかった。












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