6月の蛍―宗久シリーズ1―
今でもはっきりと覚えている。
きっと、僕を膝に抱きながら、その話を語るあの人の表情が、あまりにも切なげで痛々しかったからだと思う。
耳の奥に焼き付いて離れない、あの、弱々しい声も………。
「………あ、そうか」
だから?
だから今、彼女は僕の目の前に居る?
父の代わりではなく、きっと……これは…初めから僕の役目だったのか?
望まれている。
彼女から、あの人から。
なぜか今夜は、早く帰らないとと思えたはずだ。
あの、おかしな空を見上げた時から、何となく気付いていたんだな。
そうか。
これがきっと、あの人の為に僕ができる唯一の……最後の……。
考えて笑った。
おかしかったからじゃない。
答えに、気付けたから。
もう、迷いや戸惑いは無い。
僕はもうすぐ、咲子さんに全てを伝える事ができる。
あの人の望みを、叶えてやれる。
そう、確信した。
.
きっと、僕を膝に抱きながら、その話を語るあの人の表情が、あまりにも切なげで痛々しかったからだと思う。
耳の奥に焼き付いて離れない、あの、弱々しい声も………。
「………あ、そうか」
だから?
だから今、彼女は僕の目の前に居る?
父の代わりではなく、きっと……これは…初めから僕の役目だったのか?
望まれている。
彼女から、あの人から。
なぜか今夜は、早く帰らないとと思えたはずだ。
あの、おかしな空を見上げた時から、何となく気付いていたんだな。
そうか。
これがきっと、あの人の為に僕ができる唯一の……最後の……。
考えて笑った。
おかしかったからじゃない。
答えに、気付けたから。
もう、迷いや戸惑いは無い。
僕はもうすぐ、咲子さんに全てを伝える事ができる。
あの人の望みを、叶えてやれる。
そう、確信した。
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