6月の蛍―宗久シリーズ1―
あれが金森の家にあったなら、全て公になってしまったら……。



今日の事も、私の身体の事も………全て………。









金森に確認しなくてはいけない。




簪を返してもらわなければ。








考えて、膝が震えた。








……………嫌だ。




会いたくはない。





けれど……けれど……あの簪は私の…夫からの……大切な…………。









壊したく、無い。





何とかしなければいけない。





私は、今を守りたかった。







その時の私は、底無し沼に足元をすくわれかけているなんて……想像もしていなかった。






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