6月の蛍―宗久シリーズ1―
私は罪人だ。


夫を騙している。




愛する気持ちは変わらない、強くなるばかりだ。


それなのに私は、騙す事ばかり上手くなっていってしまう。





ずるく、なっていく………。






「雪等降れば、咲子はじっとしてはいないだろうからな」




笑い、私の肩掛けを掛け直してくれる夫。



「そんな…私、子供ではありませんのに」








雪…………。



純白の……。









あなた。



白い雪が降れば、私は外に等出られなくなります。





私の黒さが、雪で更に際立ってしまう事でしょう。




隠しきれない罪が。

私の醜さが……。











「兄さん、早く行かないと遅刻しますよ?」



玄関先、背後から苦笑混じりのからかい口調。





「何だ?お前、珍しく早起きだな」




夫の弟、私の義弟だ。




正月休みで帰省している。



「俺も今日には帰りますからね。正月ボケを抜いておかないと」

「抜いても抜かなくても変わらんだろう」

「二年経っても新婚ボケが抜けない兄さんに言われたくありませんよ」




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