6月の蛍―宗久シリーズ1―
憎々しげに私を見下ろす姑。



どうすればいい…私は、どうすれば………。







金森とは、心が通い合う関係では無い。


けれど、身体を合わせていたのは事実。



事実に対し、私は何を訴えればいい………。







真っ白だった。



何も……言葉が……何一つ………。










「出て行け」

「お義母様…!」

「二度とこの家の敷居はまたがせん!息子には、わしから話す。お前とは離縁してもらう」











離縁……………。



夫と……離れ…………。













「お義母様!!」




窓へとすがりつき、叫んだ。



「お義母様!お願いでございます!私の話を……!」

「お前から聞く話等は無い!」

「お義母様!」





無情に閉じられる雨戸…。




そんな…そんな………。








「お義母様!開けて下さい!話を聞いて下さい!」




閉じられた雨戸を必死で叩く。


打ち付ける手は、寒さで凍え、思う様に力は入らない。



感覚が消えかけるのを感じながらも、私は必死で叩き続けた。





「お義母様!」



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