6月の蛍―宗久シリーズ1―
長かったでしょう、互いに。







残酷な別れと、離れた年月。






それは、悲しみを育むには、充分過ぎる時間でしたね。


孤独を味わうには、長すぎる時間でした。






終わらせましょう。







もう、悲しまなくてもいい。






許されないと思う程、最初から誰もあなた方を恨んで等いなかったのですから。






あなた方は優しすぎるあまりに、自分を傷付ける方法を選んでしまった。




もう、いいでしょう?







自分を責めなくてもいい、憎まなくてもいい。




不必要な苦しみ等、捨てましょう。





全て脱いで軽くなれば、お互いの姿が見える位置まで歩いていけます。





自分の足で。





心から、求める人の元へと。








心を、暖めましょう?







悲しみの涙も、枯れ果てたでしょう?






疲れたでしょう。








もう、休んでもいい。





お互い、もう気付いている筈です。




呪縛から、開放される時だと。





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