6月の蛍―宗久シリーズ1―
ふわりふわりと、咲子さんを守っているのか、彼女の周りを舞う蛍。
………待ちきれないんだな。
「咲子さん、その蛍の光を追って下さい」
「蛍を……?」
「その光が、大切な人の元へと導いてくれます」
「あの人の………私、行けるのですね?」
咲子さんの表情に、喜びの色が浮かび上がる。
「そう、あなたももう、気付いている筈ですよ」
月が、雲に隠れた。
まるで、蛍の放つ虹色の光を際立たせるかの様に。
咲子さんが迷わない様、辿り着ける様。
祈りながら僕は笑い、ゆっくりと頭を下げた。
「あの人を、お願いします」
待っているだろう、あの人の事を。
「……はい」
咲子さんは、笑った。
ほんのりと朱色に色付くその頬を、笑顔を、蛍が照らしている。
迷いながらここへ現れた時とは違う、美しい笑顔。
ただ純粋に、心に従う笑顔。
どうか、幸せに………。
.
………待ちきれないんだな。
「咲子さん、その蛍の光を追って下さい」
「蛍を……?」
「その光が、大切な人の元へと導いてくれます」
「あの人の………私、行けるのですね?」
咲子さんの表情に、喜びの色が浮かび上がる。
「そう、あなたももう、気付いている筈ですよ」
月が、雲に隠れた。
まるで、蛍の放つ虹色の光を際立たせるかの様に。
咲子さんが迷わない様、辿り着ける様。
祈りながら僕は笑い、ゆっくりと頭を下げた。
「あの人を、お願いします」
待っているだろう、あの人の事を。
「……はい」
咲子さんは、笑った。
ほんのりと朱色に色付くその頬を、笑顔を、蛍が照らしている。
迷いながらここへ現れた時とは違う、美しい笑顔。
ただ純粋に、心に従う笑顔。
どうか、幸せに………。
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