ドキドキ
「広貴さんと一緒に暮らせるなんてずるすぎる」

「ともちゃん今まで話聞いてたの?」

「聞いてたよ、広貴さんが車で送り迎えしてくれたって話でしょ」

「違う!ともちゃんがあたしを売ったから先生に怒られて、いつもの電車に乗れなかった、って言いたいの!お兄ちゃんはどーでもいいの」



机に置かれたポッキーをサクサクと景気よく食べるともちゃんに言い募る。
相変わらずともちゃんは広貴さんはかっこいいよね、と浮かれながら言う。



「ねえ、広貴さんと間違いとか起こらないの?」

「お、起こんないよっ!お兄ちゃんだよ!」

「あたし、広貴さんだったら背徳でもいいから間違いを起こしたい」



まっピンクのオーラがともちゃんの背後に見える気がしてあたしは少しだけ引いた。



「ともちゃん、彼氏いるくせに……」



口を尖らせながらぶーたれて言うとデコピンをするように唇を弾かれ、いるから冗談を本気で言えるのよ、と諭される。



「ま、お子ちゃまなあんたにはまだまだわからない話でしょうけど」



大人にはいろいろとあるのよ、と最後の1本を食べられた。

同い年のくせに。
どうせ、あたしは彼氏なんか出来ないもん。
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