キマイラ
第四章 弟と噂と進路
一節 海璃
〔……えー、Xの最新情報です。昨夜男二人組が政府の機関の施設の機密情報を盗み逃亡、警官10人が怪我をし病院に送られました。〕
おやつを食べる手が止まった。
因みに煎餅。庶民的とか言うな。これしかなかったんだ。
学校から家に帰ってきて、おやつ片手にテレビ見ながらリビングでくつろいでいる時に耳に入ったニュースは久々聞くXの情報だった。
〔防犯カメラの映像には、よく見られる金髪に仮面の男とフードをかぶった男が映っており、警察は行方を追っています。〕
ニュースでは金髪と言うが小麦色だ。
前俺が目にしたXの男だ。
フードをかぶったやつは顔は見えないが体つきからして男だと思われる。
X……。
ホントに金髪で黒目のキマイラさんを思い出した。
愛澤さんと早瀬のことがあったからキマイラさんのことは少しの間頭から抜けていた。
だからあの日あったことをうっかりしゃべってしまうようなことはなく、それどころかXという組織の話は出てこなかった。
キマイラさん。
名前を聞いた時、“キマイラ”という言葉を聞いたことがあった。