キマイラ

『？……何通か送らなきゃいけないの？』

「いや、そういうことじゃなくて……内容が……」

『内容？』

「本文に何も書かれてない……」

『アドレスが知りたかったんでしょ？』

「いや、そうだけど、普通なんか一言添えるでしょ」

『それが普通なの？』

「え、うん……。これだけじゃ誰から送られてきたかわからないし……」

『そうか……』

「うん……」



愛澤さんは何か考えるような素振りを見せると、またケータイを弄り出した。
今度は何か文章を付けて返してくれるのかな？と期待した。

そして俺のケータイが光る。
メールを開くと本文に、



“愛澤メイ”



と書かれていた。