キマイラ
「なんか言いなさいよ!」
うんともすんとも言わない愛澤さんにイライラする美奈。
そんなところに次の授業の先生が入ってきて、何かいつもと違う空気にどうしたんだ?と聞いてくる。
先生が来たことで美奈はチッと舌打ちをすると自分の席に戻った。
「愛澤さん、ごめんね」
彼女にそう一言言い、俺もこの状況に内心ビビりながら席に戻ろうとした。
その時彼女が呟いた。
『あまり関わらない方がいい……』
「え……」
それだけ言って次にはもう寝る体勢に入っていた。
俺は言葉の追求も出来ず、席に戻る。
愛澤さんが何に対してその言葉を言ったのかわからない。
でも自分に関わるなと言われた気がして、胸がズキンと痛かった。