キマイラ



それから愛澤さんにめげずに話しかけ、季節は7月になっていた。
本格的に受験を意識する奴も出てきた。



「愛澤さんは進路どうするの?」



あれから美奈の視線は怖くて、俺だけじゃなく愛澤さんにも向けられるもんだからイジメとか起きないかヒヤヒヤした。
美奈はそんなことする奴じゃないって信頼してるけど。
気に入らない奴には容赦なくズバッと言うからなー。



「俺まだ決まってないんだー」

『……』



愛澤さんは相変わらず無口で無表情。
つれないです……。



「暑くなってきたねー。愛澤さんはスカート短くしないの?暑そうだけど」



愛澤さんはきっちりスカートが膝上のところまで。
上のブラウスは夏服だけど。
クラスの女子は普通に太もも見えるところまで上げてる奴までいる。



「……あ、変な意味じゃないからね?純粋に暑そうだなーって思っただけだから」

『……』



聞いておいて女子にする質問じゃないと気づく。
今のは俺らしくない。

でも愛澤さんにとってはどの質問も答える気はないらしい。
無言です……。





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