キマイラ
「あ、お前ら!先に行っててー!俺、早瀬と行く」
「は、春樹!?」
A組の友達と行くつもりだったが(てか、友達置いて行くつもりだったが)、心を開いてくれそうな早瀬とまだ話したかった。
愛澤さんは手強いが、普段の俺は初めての人でも、もっと普通に親しく話せるんだ。
俺の言葉に呆れるA組のみんなと、早瀬を俺に託そうと決めたC組のみんなは教室を出て行った。
一気に俺と早瀬だけになる。
「お前、変わってるな」
「俺ってこういう奴。せっかく一緒の学校になったのに仲良くしたいじゃん♪」
「ハッ、おめでたい奴だ」
そう言った早瀬の表情は馬鹿にした感じではなく、どこか悲しそうに見えた。
「なんで体育やんねーの?お前の体つきからして運動が嫌いには見えないし」
「……別に運動嫌いだからとかそういう理由じゃねーよ」
「じゃあ着替えるのが面倒だから?」
「…………」
え、ホントにそんな理由で!?