キマイラ



「体操着はあるんだよな?」

「一応な」

「着替えるのなんてパパッと済むじゃん!」

「まぁな」

「遅刻してもいいからやろうぜ!?」

「……お前しつけーな」

「褒め言葉として受け取っておく」



変な奴と早瀬は呟く。
まぁ、俺の取り柄ですから。



「……お前ってさぁ」

「お前じゃなくて寅沢春樹な!」

「…………寅沢ってさぁ」

「春樹の方がいいなぁー。そんで俺も健って呼びたいなぁー」

「……いい加減にしろよ」


あ、どすの利いた声になった。
調子に乗りすぎたか。



「冗談だよ。で何?」



ここは笑ってごまかす!
不良相手って命が危ない!!

体育の授業とっくに始まってるけど、これも仲良くなるためだ!
外暑いし。



「A組だよな?」

「そうそう!A組!遊びに来いよ!」

「クラスどんな感じ?」

「仲いいぜ?俺中心的人物だからみんなと話せるんだぜ」

「……そうか、様子見に行っていいか?」

「おう!……何?C組で浮いてんのお前?」

「いや、特にそういうわけじゃねー」





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