キマイラ
周りには人も少ない。
なんだ!?と反応する人もいるが状況がわからなくて動けない人ばかりだった。
「悪い、先に帰ってて」
「え?春樹!?」
俺は直ぐに悲鳴がした方へ走り出した。
後ろで美奈がなんか叫んだ。
たぶん、このお節介!!とか言ったと思う。
仕方ない体が自然と動いちゃうんだ。
悲鳴が聞こえたきた路地を進む。
たぶん奥の方だ。
道は一本道だが、何回も曲がった。
走って進む。
そしてそこで俺は見た……、
金髪ロングの少女を。
曲がり角で直ぐに身を隠した。
顔を少しだけ出し、様子を窺う。
彼女はこちらに背を向けていた。
路地の行き止まりに誰か追い詰めてるようだった。
「知らない……、お願いだ……見逃してくれ!」
そしてそれはさっきの悲鳴の男だと思われる男だった。
少女の陰で男の姿は見えないが、少女に男が命乞いしてるように見えた。